*** CONTENTS *** Conversion Test Running Comeback


<第一部:短編成化に至る経緯と改造概要>
T.“のぞみ”運用からの離脱 W1編成とW8編成が並んだ。
*** 49A & 50A 新神戸 2007.10.28撮影 ***
 登場から11年の長きに渡り東海道・山陽新幹線の『のぞみ』を主にして活躍して来た500系だが、いよいよその主役の座から撤退する時が迫りつつある。異彩を放つ顔立ちに誰もが魅了されたその車両も、最新技術を駆使して造られたN700系には足元一歩及ばなかった。N700系の増備に伴って2007年10月より『のぞみ』運用から徐々に離脱し始め、2008年03月15日のダイヤ改正からは9Aと6A-29A-50Aの1日当たり4列車2往復にまで活躍の場が減少。JR東海・西日本両社の発表によれば、2009年度までには直通『のぞみ』を全てN700系に置き換え、2011年を目途に東海道山陽新幹線を走る全ての『のぞみ』をN700系に置き換えるというのだから、500系が『のぞみ』運用から撤退し、東海道への乗り入れを終了する日も遠くはない。
公式発表ではないが、2009年01月26日の朝日新聞夕刊には 『「男前」新幹線500系、来春にも東海道から引退へ 』 という見出しの記事も掲載されている。そんなところからも、500系の東海道区間乗り入れ終了がいよいよ現実となりつつある頃合いであることが窺える今日この頃だ。
 しかし、活躍の場が減ってしまったとは言えど2009年03月14日のダイヤ改正でもまだ1日当たり4列車2往復の運用は残っている。充当列車が6A-29A、28A-51Aに変更された関係で、東二両に滞泊する定期500系が過去帳入りとなるのは残念だが、それでも直通『のぞみ』が全てN700系に統一される直前まで活躍出来る結果となったのは非常に有り難いことではなかろうか。

快晴の空の下、W1編成が登場。
*** 10A 三河安城〜豊橋 2007.12.27撮影 *** U.500系の第二の使命
 500系の『のぞみ』運用離脱に伴って一番初めに車籍が抹消されたのは1997年08月30日に落成したW3編成。そして、その元W3編成は1編成16両の丁度半分に当たる8両に短編成化のための改造工事を受け、新たな使命を担うことになった。その第二の使命というのが、山陽新幹線内を走る『こだま』への転用。集約団臨等で通電ダイヤに乗ることはあるかもしれないが、定期運用は停電のみとなっている。『のぞみ』から『ひかり』をすっ飛ばして『こだま』になるという事実に衝撃を受けた方も多いと思うが、その理由を次のように推測してみた。
 それはずばり【『こだま』の速達化】だ。山陽新幹線内を走る『こだま』はそれまで0系と100系が9割以上を占めており、彼らの最高速度は両者とも220km/h。N700系とは実に80km/hも速度に差が生じてしまっている。
それ故、ダイヤを組むにもかなりの制約があり『のぞみ』や『ひかり』を待避するために10分以上停車する駅もある状態である。結局のところ、長時間停車によって所要時間が大幅に掛かることなどを理由に利用客が低迷しているのも、残念ながら間違っているとは言えない状況だろう。また、2011年には九州新幹線博多〜新八代間が全通、相互直通運転も開始される。直通運転用の車両には新造する8両編成のN700系を使用するため、現在は『ひかりレールスター』の愛称で親しまれている700系E編成も、直通運転開始後は徐々に『こだま』へと格下げされていくことだろう。すると、500系だけではカバーしきれなかった残りの100系を淘汰することも可能となる。そうして、山陽新幹線内を走る全ての『こだま』を500系と700系の8両編成に統一し、最高速度270km/hでの営業運転とそれによる所要時間の大幅な短縮で集客力の向上を図るのが今後の展望でありJR西日本の狙いなのではないか。それを実現するための第一歩が当に500系の定期『こだま』への転用なのだと私は思う。 W7編成が雪の中東へ向かって突き進む。
*** 18A 米原〜岐阜羽島2008.02.17撮影 ***

V.短編成化改造の概要
 さて、ここまでは『こだま』運用投入への経緯を綴って来たが、ここからいいよ短編成化改造の概要を見て行くことにしよう。まずは編成名だが、元来の16両編成がW編成を名乗っているのは既にご存知の通りである。そして、短編成化改造を施した8両編成は16両の編成を半分の8両編成にするという発想からV編成と名付けられた。何ともユニークな発想だ。V編成と言えば、2002年11月をもって引退した100N系『グランドひかり』に充てられた編成名で、今回の500系短編成化に伴って再び復活となった。また、編成番号の方はW編成の時のものを引き継ぐ形を取っているので、短編成化第一号編成は“V3編成”となる。番台区分は700系E編成と同じ“7000番台”だ。
 続いては、何故8両編成なのかという話。下図のように、500系W編成は博多方からM+M1+MP+M2という4両で1ユニットを組んでおり、それを4組繋げて16両編成としている。従って、0系や100系のように6両編成に改造することは出来ないし、4両編成では1ユニットのみで短すぎる。そんな理由があって、2ユニットからなる8両編成となった。さらに、将来的に700系E編成を『こだま』に格下げした際に8両であれば両数を統一することが出来るからというのも理由の1つなのかもしれない。
しかし、単純に真ん中の2ユニットを抜けば改造は終わりという訳ではないのが難しいところ。パンタグラフや乗務員室に加え、車販準備室や車椅子対応設備、多目的設備なども必要なため、改造も一筋縄ではいかないのが実情だ。
 そんな8両の500系V編成だが、まずは元の16両編成から選び出した8両を下の図を使って紹介しよう。
第1ユニットは元の編成のそれをそのままスライドした形となっている。注目すべきは第2ユニットだ。こちらはかなりバラバラなところから引っ張って来ており、5号車にパンタ付きの元13号車、6号車には乗務員室を備えたグリーン車の元10号車、7号車には車椅子対応設備や多目的設備を持ち合わせた元11号車が選ばれた。外塗装は従来のデザインが引き継がれている。また、8号車は当然ながら元16号車である。以下に短編成化改造第一号編成であるV3編成の編成組成を明記した。
500系V3編成組成表  
号車 @ A B C D E F G
定員
車種
形式
(53)
MC
521
(100)
M1
526
(78)
MP
527
(100)
M2
528
(95)
M'
525
(68)
M1
526
(51)
MPKH
527
(63)
M2C
522
V03 7003
(521-3)
7007
(526-7)
7005
(527-5)
7003
(528-3)
7006
(525-6)
7203
(516-3)
7703
(527-703)
7003
(522-3)
形式
車種
定員
521
MC
(53)
526
M1
(100)
527
MP
(78)
528
M2
(100)
525
M'
(95)
526
M1
(68)
527
MPKH
(51)
522
M2C
(63)
号車 @ A B C D E F G

W.短編成化に伴う各号車の具体的な改造内容
 この項目ではW編成からV編成を再生するための具体的な改造内容について以下で紹介したいと思う。下の図は短編成化改造の要点をまとめたものだ。
 まず全体を見通してみれば、全車普通車化と共に全席禁煙化が図られたことが車内環境では大きな変化となる。客室内の内装に関しては主だった変更点は少なくその殆どが新品に交換するリフレッシュのみが行われた。元G車の座席はオーディオ機器やフットレストなどが取り外されて、普通車の座席として使用されている。それから、全席禁煙化に伴って3号車と7号車には側窓を塞いで喫煙ルームが設置された。
 続いては各号車の詳細な改造内容だ。こちらは号車毎に別枠で掲載する形を取りましたので、下の 【資料4-1】 より詳細をご覧下さい。
【資4-1.500系V編成短編成化改造各号車詳細内容】
500系V編成短編成化改造詳細内容
1号車(元1号車)
  1号車 
500系V編成短編成化改造詳細内容
2号車(元2号車)
  2号車 
500系V編成短編成化改造詳細内容
8号車(元3号車)
  3号車 
500系V編成短編成化改造詳細内容
4号車(元4号車)
  4号車 
500系V編成短編成化改造詳細内容
5号車(元13号車)
  5号車 
500系V編成短編成化改造詳細内容
6号車(元10号車)
  6号車 
500系V編成短編成化改造詳細内容
7号車(元11号車)
  7号車 
500系V編成短編成化改造詳細内容
8号車(元16号車)
  8号車 


 
以上が500系短編成化改造の経緯をまとめたものである。また、次の第二部では改造終了後の走行試験から営業運用に復帰するまでを追ってみたので、そちらの方も引き続いて御覧下さい。

*** 第一部:短編成化に至る経緯と改造概要 終 ***



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