*** 第24章〜最終章執筆にあたり *** | |
2013年07月25日から28日に掛けてE6系Z13編成の甲種輸送やE6系S12編成の耐久試験を追い掛けた際の撮影紀行が先の第22章及び第23章でした。ただ、07月の遠征はどちらかと言えば量産編成の追い掛けが主体になっており、S12編成を十分に追い掛ける程の余裕までは無かったんですよね。その上、第23章のあとがきにも記したように、この時既にS12編成は量産先行車としての役目をいつ終えても不思議ではない状況下にありました。そのことも相俟って、『その日』が来る前にもう一度だけ"S12"としての勇姿を記録したいという想いは日ごとに強まって行ったのです。そして、秋も深まる2013年は11月の下旬、遂に2013年通算五度目となる東北地方への遠征を挙行。四泊五日の臨戦態勢を何とか整え、東北新幹線内は勿論のこと、奥羽本線・田沢湖線においても最後のひと踏ん張りを駆けるS12編成の勇姿を全力で追い掛けて来たのでした。 |
また今回の遠征では、北陸新幹線新規開業区間への乗り入れ準備で動いていたS51編成や、同編成に代わって軌道検測を行っていたN21編成+E926-13にも遭遇。S12編成を追い掛けるだけに留まらず、それらの勇姿も狙うことに成功しています。今思い返してみてもかなり密度の濃い五日間だったと思いますので、本章からの三章も是非とも引き続いてご覧下さいね。 ということで、いよいよ本編です。では、まずは11月20日夜から21日日中までの活動を綴った第24章『即戦編』からお伝えするとしましょう。 |
20-1.50A(X41編成): 新神戸18時46分発→東京21時33分着 | |
20日は夕方まで非鉄な先約が入っていたため、50Aで上京する予定にしていました。しかし、その先約が予定よりも30分以上押し、初っ端から乗り遅れの危機に瀕してしまったのです。予約していた50Aは関西方面から仙台へと向かう最終列車だったため、とにかく焦りましたよ。何とか50Aの入線直前にホームに辿り着いたので良かったですが、あと5分出発が遅れていれば本当に乗り遅れてしまうところでした。いやはや、危なかった…。 さて、そんなこんなで息絶え絶えで車内に乗り込むと、席を確保してあった10号車へ。今回はEX予約グリーンプログラムのポイントが1000ポイント以上貯まっていたので、久々にグリーン車利用で東京を目指します。ポイント利用での乗車は乗っている時間が長い時程お得感を感じますね。 |
乗車後はのんびりと夕飯を食べつつ、G車でのひとときを満喫していました。重厚感があって落ち着いた雰囲気のため、のんびりとと寛げます。乗車率もそれ程高くなく、まったりとしたひとときでした。このポイントで山陽区間の『みずほ』・『さくら』のG車を利用出来ないのは残念ですが、また1000ポイント以上貯めて長時間乗る機会に利用したいものです。 |
20-2.223B(U16編成): 東京21時44分発→仙台23時48分着 | |
50Aで東京入りするとすぐさま東北新幹線へと乗り継ぎ、一路仙台へ。折角E5系に乗るということで、引き続いてG車に乗車してみました。今までE5系自体に乗ったことは何度かあったのですが、いずれも混雑時間帯で単なる移動手段としての乗車になってしまっていたんですよね。そのため、今回のE5系への長時間乗車は『乗り』を満喫するには持って来いの機会でした。 |
223Bは各方面への最終列車ということもあり、ほぼ各駅停車で仙台を目指します。でも、同じG料金で長い間乗っていられるので、満喫するには持って来いですよ。車内ではE5系の加速音を堪能しつつ、軽食とコーヒーを愉しみながら、まったりとしたひと時を過ごしていました。 |
21-1.日の出と共に |
20日深夜に仙台入り出来たことで、21日は朝から予定通り活動を開始。営業が始まって間もないホームに上がると、早速S12編成を迎え撃つべく臨戦態勢を整えます。06時05分過ぎに下本線に回送列車入線の案内放送が入電すると、いよいよ再撃の時が迫って来ました。日の出時刻の前だったので、まずはホーム中腹にて下本線に入線して来たところを捕えます。 |
以前撮った作例を予め見直していたことが功を奏し、予想していた位置にぴたりと停車してくれました。折り返しということで、11号車側は停車後すぐに尾灯に変わってしまいましたが、その前に何とか前照灯状態での勇姿の記録に成功。前照灯のカットを無事撮り終えると、続いては少し遠めに尾灯の勇姿を記録します。さらに、"S12"の編成表記やロゴマークの無い12号車の側面等も抜かりなく押さえました。 |
↑ 5枚とも、9880B - 9881B |
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早朝より毎日のように耐久試験に励むS12編成。車体の汚れ度合いも半端なかったですが、それも試験車両ならではの苦労の跡と言ったところでしょうか。就寝が遅かったので早起きするのは少々辛かったですが、夜明け時で外との光量のバランスも丁度良く、清々しい再会を果たせました。 |
21-2.陸前の朝 | ||
早朝の仙台駅でS12編成を見送った後は、一旦ホテルへと帰還。朝食を済ませた後、今度はホテルから上り列車を迎え撃ちます。早朝の仙台市上空は雲こそ多めでしたが青空も見えており、小一時間の間に朝陽を浴びて輝くE5系やE2系を効率よく捕獲出来ました。 |
↑ 4B |
↑ 94B |
↑ 1126B |
エメラルドグリーンに輝くE5系、とても美しかったです。しかし…、08時を過ぎると東から雲が一気に流れ込み、それがまさかの曇り空に(涙)。この状況には流石にがっかりしました。というのも、実は94Bの後に控えていた一戦こそがここでの本命の決戦だったからです。 その相手こそ、2011年08月以来およそ二年振りに活躍の場が与えられていたN21編成+E926-13でした。このN21編成+E926-13の組み合わせは、S51編成が仙総所に長期入場する際にしか見られない貴重な光景です。そのため、これまでもN21編成+E926-13は余り活躍の機会がなかったんですよね。因みに、今回の長期入場は、北陸新幹線長野以西における走行試験に備えての検測機器の改修が目的だったようです。その代わりにN21編成+E926-13が一ヶ月間S51編成の代役を務めるとあらば、是が非でも狙わない訳には行きません。 |
↑ 7906B |
↑ 7907B |
奮戦の結果、到着時も発車時も無難に捕獲成功。久々にその勇姿を見られて、嬉しく思っています。曇ってしまったことが一番悔しい点ではありますが、まぁ天気ばかりは仕方の無いことなのでしょう。尚、早朝に捕えたS12編成も7906Bの後を追って戻って来てはいたのですが、天気が今一つな上に7907Bの捕獲に専念したかったこともあって、ここではその勇姿を見送るだけに留めています。7907Bの後ろ姿を捕えると、すぐさまホテルを出て足早に駅へ。続いては、S12編成のすぐ後ろを走る3023Bに乗車し、盛岡を目指しました。 |
21-3.再撃、紅玉の旋風 |
3023Bに乗車して10分で列車は古川を通過。ここで下1番線に時間調整のために停車していたS12編成を追い抜きます。7907B撮影後に急いだのはこのためでした。3023Bに乗れれば、盛岡にて再度S12編成の勇姿を迎え撃てますからね。到着後は足早に上りホーム東京寄へ移動し、臨戦態勢を整えます。10時15分過ぎに下りホームへ回送列車到着の案内放送が入電すると、程無くして再戦の時を迎えました。 |
駅通過とは違って速度も遅いため、それ程緊張することも無く撮影に成功。想定していたよりも鼻先の茜色がしっかりと出てくれたので、嬉しく思っています。入線後はパーツ撮りの他、上本線に停まっていたJ73編成と絡めた構図でもその勇姿を狙いつつ、発車までまったりと過ごしていました。 |
↑ 4枚とも、9883B - 9884B | |
9884B撮影の合間には、上1番線に入線して来た3028Mも迎撃。15日の改正を以ってE3系R編成が定期運用から勇退したことで、この光景も一緒に過去帳入りしてしまっています。 | |
3028M & 3028B → | |
帰宅後に調べてみると、盛岡での分割・併合風景は撮っているようで意外と撮っていなかったことが判明。特に、E5系とE3系の併合風景に至ってはこのカットのみなので、貴重な記録になりました。そのうち撮れると思って先延ばしにした結果、撮らずに終わりかけたパターンです。やはり「いつ撮るの?? ‐ 今でしょ!!」精神で行かなければ駄目ということなのでしょう。 |
3028Bの併合風景を狙い終えると、再びS12編成を狙いつつ発車時刻までその姿を記録していました。その後はホームを出てレンタカーを拝借。仙台以北にS12編成が戻って来るのは夕方のため、追い掛けは一時中断です。続いては、盛岡より一つ北のいわて沼宮内を目指しました。 |
21-4.The Fierce Battle VS. N21 + E926-13 / 7908B |
いわて沼宮内での標的は、朝仙台で出庫を見送ったN21編成+E926-13。12時頃に現地入りすると、早速3032Bより練習開始です。超望遠での戦いとなるため、ピントの位置にはとにかく気を遣いましたね。天候も何とか持ち堪えてくれ、エメラルドグリーンが映える一枚に仕上がりました。 |
U11編成充当の3032Bを無事仕留めると、一時間後の3034までは暫しの一休憩です。盛岡以北で活動する際、普段ならこの待ち時間も余り気にならないのですが、この時ばかりは逸る気持ちを抑えるのが大変でしたね。ただ、12時半を過ぎた頃から、その待ち遠しさは少しずつ焦りと不安に変わり始めます。 | |
3032B → | |
というのも、3032B捕獲時には問題無かった空模様がいつの間にか一変…。太陽の方向を改めて見てみると、かなりの量の雲が湧いている様子が見えてしまったのです(焦)。曇り予報が出ていたとは言っても、到着時の青空と陽の光を浴びて登場した3032Bの勇姿を見てしまった以上、このやるせない状況には流石に落胆しましたね(溜息)。それでも、諦めずに晴れて欲しいと祈り続ける私。当初は3034Bが来るまでの間にのんびりと昼食をと考えていたのですが、そんな心の余裕など一瞬のうちにどこかへ去って行ってしまっていました。 |
すると、露払い役の3034Bが登場する少し前から奇跡は起こり始めます。何と、連なっていた雲が少しずつ分散し始め、その隙間から再び陽の光が射し込み始めたではないですか。これには思わず気持ちも高ぶりました。しかし、ちぎれ雲が太陽の前を引っ切り無しにかすめており、一旦日が射したと思えば、すぐに薄雲るの繰り返し。辺りの光量は数十秒単位で目まぐるしく変化し、一瞬たりとも気が抜けない状態が続きます。 | |
← 3034B | |
あとは通過直前に陽が再び陰らないことを祈るしかありません。折角来たのだから、陽の光を浴びて走る姿を何としても捕えたい…この時は唯々そんなことばかり考えていたように思います。その状況下で暫く待っていると、13時30分頃に上りホームへ列車通過の案内放送が入電。いよいよ本命の一戦です。緊張に加えて、焦りと不安も最高潮に達していた私。 |
そんな中、ここで二度目の奇跡が起こります。何と、それまで目まぐるしく変化していた光量が安定し、陽の光が辺り一面に降り注いだのでした。こうなったら想うことは一つしかありません。『頼むから持ち堪えて欲しい…』…その一心です。と、次の瞬間、第一五日市TNの向こうからN21編成+E926-13が登場。『よしっ!!来たっ!!』…この時点で今なら何とか晴れカットを手中に収められると確信し、全神経を目の前の獲物に集中させました。あとは、架線ビームの写り込みに気を付けながら、目の前の獲物に全力で勝負を挑むのみ!! |
← 7908B |
二度の奇跡に助けられ、思い描いていた一枚を何とか手中に収めることに成功。超望遠故に、断面の違いも良く分かるかと思います。盛岡以北にN編成が入線する機会も今では殆どありませんから、赤帯のE2系が撮れただけでも収穫は大きかったと思っています。2009年02月にE954形の勇姿を狙って以来、いつかは同じ構図でN21編成+E926-13を迎え撃ちたい…そんなことを想い続けて来ました。この遠征でその願いを叶えられ、とても嬉しかったです。因みに、撮影後にふと我に返ると、そこに燦々と降り注ぐ陽の光はもうなかったという…。いやはや、本当に間一髪の一戦でした。 いわて沼宮内における緊張の一戦を終えると、来た道を引き返して大釜界隈へ。ただ、既にどんよりと曇っていたので撮影は見送っています。21日の夜は車を走らせて仙岩峠を越え、夜更けの決戦に備えてのんびりと大仙市を目指したのでした。 |
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第24章『即戦編』は以上になります。20日、21日の二日間では、やはり何と言ってもいわて沼宮内でのN21編成+E926-13が一番の収穫でした。さて、続いての第25章『猛追編』は遠征中盤の21日夜〜23日未明の活動記になります。21日夜はS12編成の奥羽本線内での深夜体試験を追い掛け、明けて22日はその足で再び幹線区間を激走する同編成を捕獲。さらに、22日の夜にもS51編成の夜間試運転やZ21編成の仙総所への陸送等を追い掛けるなど、寝る間を惜しんで活動を続けていました。まだまだ密度の濃い内容となっていますので、是非とも引き続いて御覧下さい。 |
*** 第24章 即戦編 終 *** |
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