続く第20章『夢追編』は、09月20日の夜から翌21日早朝に掛けて行われたS12編成の田沢湖線・奥羽本線内での走行試験の模様を綴った撮影紀行です。第18章と似たような構成ではありますが、新たなカットも沢山登場しますので、どうぞお楽しみに〜。 |
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20-6.Attack Again |
20日も雫石に到着したのは20時過ぎでした。今度も17号車側からの編成全景を押さえるべく、ホーム端に陣を構えます。18日と同じく前走りの3037Mが出発して10分少々経ったところで、S12編成がゆっくりと構内に進入して来ました。いよいよ戦いの幕開けです。 |
17号車側からのこの一枚はアングルこそ18日と同様であるものの、ご一緒して下さった方のお力添えでより良い一枚に仕上げることが出来ました。この一枚を撮るのに10分近く費やしたのですが、時間を掛けた甲斐はあったと思います。前回は発車前に改札を出てしまい出発信号が進行現示になったところが記録出来なかったので、今回は念入りに記録。その結果、出発時に驚きの一枚が撮れました。 | |
←↑ 2枚とも、5991M | |
青信号で出発して行く姿を記録しつつも"S12"という編成番号も判読可能なこの写真。列車の動き出したタイミングが良かった故に、絶妙の一枚に仕上がったのでしょう。齷齪せずにゆったりと撮っていたこともあって、あっという間の15分間だったなぁ。因みに、18日の側幕は『試運転』表示でしたが、20日は『回送』表示でした。 | |
20日は私達の他にもS12編成を見に来ていた家族連れが二組ほどいたので、賑やかな雰囲気の中で撮影が出来て楽しかったです。5991Mの発車を見送ると、車に戻って追い掛けを開始。但し、20日は赤渕での撮影はせず、直接羽後境へと向かいました。 |
20-7.完敗の9370M |
羽後境に23時過ぎに着くと、20日の対9370M戦では駅の敷地外から17号車側を狙おうと奮闘。けれども、駅の照明以外の光源が殆ど無かったため、努力虚しく結局失敗に終わってしまいます(涙)。う〜ん。なかなか思い通りにはならないですね(汗)。 |
21-1.Return Match VS. S12 - 9371M |
9370Mでの一戦で肩を落としつつも、次戦でリベンジすることを誓って今度は隣の和田へ。大曲からの下り9371Mも18日と同じ構図で迎え撃ちました。但し、前回の反省から立ち位置をもう少しホームの大曲側に変更しての撮影です。現着後は急いで構図を調整。今度こそフレーム一杯に収めようと微調整を繰り返しながらS12編成の到着を待ちました。程無くして幹1番線の出発信号が進行を現示すると、いよいよ再戦の時です。 |
← 9371M |
シャッターポイントに近づくS12編成に向かって「あと少しあと少し…」と念を送ったのですが、またしても予想よりも手前に停車(汗)。19日の作例を見ながら構図を決めていたので、もっと勝負を仕掛けられたはずだったんですけどね。怖気づいてしまい、その一歩が踏み出せませんでした。でもまぁ、19日よりはトリミング率が減ったので、それなりに奮闘した成果はあったかなと思います。 |
21-2.羽後境夜更けの陣 | |
9371Mを見送ると急いで機材を撤収し、19日同様隣の羽後境へ。21日の9372Mは流し撮りで迎え撃ってみました。跨線橋の下が一番明るかったので、S12編成の到着まで何度もカメラを振って流しの感覚を思い出します。そうこうしているうちに遠くの踏切が鳴動し始め、遠くにS12編成のHID灯がギラリ。緊張のひとときです。 | |
9372M → | |
が、奮闘はしたもののどうも今一な結果に終わってしまいました(汗)。もう少し顔が同調してくれていたら合格圏内だったんですけどね…。ただ、終わったことを悔やんでも仕方ありませんから、ここは気持ちを入れ替えて続く9373Mを待つことに。その間はご一緒させて頂いた仲間の方と話に華を咲かせながら過ごしていたかな。その後02時前に再びホームへ向かい、静けさ漂う構内で真夜中の決戦に挑みました。 |
← 9373M |
19日と似たような構図で列車の到着を待ち、停車したところを一枚。今回はISO感度を低めに設定して狙ってみました。ということは、露光時間がその分長くなります。しかし、21日の9373Mは僅かに早着だったのか、二枚目を撮り終わっても動く気配がありません。そこで、ここぞとばかり設定を再び変えてもう一枚。結局は三枚目の撮影中に発車してしまったのですが、それまでの二枚が低感度且つノイズの少ない仕上がりになったので、嬉しく思っています。同じ場所で奮闘した甲斐がありました。羽後境での戦いに幕が下りると、今度は大曲へ眠い目を擦りつつ大曲へ。 |
21-3.丑四つ時の大曲 |
大曲に着くと17号車側の停目が見える場所で迎撃態勢を整え、9374Mの到着を待ちました。時刻は丑三つ時ならぬ丑四つ時。にも関わらず、列車到着時に『まもなく12番線に秋田行こまち号が…』という案内放送が入電(驚)。営業列車じゃないですし、駅が閉まってる以上案内されても乗れないですよね(汗)。草木も眠る深夜にそんな案内放送が入電するとは驚きです。 |
↑ 3枚とも、9374M - 9375M |
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入線を狙った後は尾灯に変わったところをアップで一枚。それから11号車側に移動して、折り返し発車待ちをしている様子を狙ってみました。停車時間が5分強だったことと、それまでの無人駅とは違って駅の外からの撮影のためあまり列車に近寄れないこともあり、撮影は少々大変でした。でも、走行試験の貴重な記録が増えたことは確かですから、行った甲斐は十分あったことでしょう。大曲での一幕を終えると、深夜試験の追い掛けもこれにて終了。その後は早朝の戦いに備えて、田沢湖線神代付近へ向かいました。 |
21-4.Final Stage : 夜明けの激戦 |
大曲から角館街道を北上し、神代付近に戻って来たのは04時過ぎでした。神代〜刺巻間は46号線とずっと並走しているだけでなく、右に左に曲がりながら山間を縫って走るところ。同区間には新幹線区間ではあり得ない急カーブも数多く存在し、田沢湖線らしさを引き立たせるには持って来いなんですよね。今回はそんな田沢湖線ならではの迫力満点な姿を捕えようと、この地を最終決戦の舞台に選んだのです。 日の出近づく05時過ぎ、いよいよ在来線区間での最終決戦に向けてラストスパートを掛ける時がやって来ました。S12編成の格好良さを引き出すに相応しい迎撃場所を求めて、夜明けの46号線を奔走する私達。ただ、ここならば格好良く狙えそうかも…という場所は幾つか見つかったものの、そう簡単に思い描いていた光景と一致するような場所は見つかりません。そんな中、ご一緒させて頂いた仲間の方がとある山の斜面に注目し、車を停めました。そこは線路がS字を描いていた場所にほど近い場所。傾斜角もそれ程急ではなかったので、早速登ってみました。すると、びっくり。振り返ってみると、何と眼下のS字カーブを丁度良い角度で、それも障害物一つ無く見渡せるではないですか。これにはもう唯々驚くしかありません。流石は大先輩です。勘の良さが私とは全然違いますね。 迎撃場所を決めたら、目前に迫る決戦に備えて急いで臨戦態勢を整えます。しかし、まだもう一つ大きな問題が残っていました。それは光量。日の出直後ということに加え、上空に分厚い雲が居座っていたため、とにかく暗かったんですよ。シャッター速度が列車を止められる速さに到底及ばず、これでは全く以って話にならないと言わんばかりの状況でした。これだけ頑張って惨敗だったら…そんな不安が頭を過ります。残りの十数分でどれだけ光量が増えるか、勝負の明暗はそこに託されました。そして、運命の06時過ぎ…。 |
5992M → |
5992M、無事迎撃成功!!どうにか辛うじて撮影出来る明るさまで光量が増えてくれ、助かりましたよ。S字カーブを抜けて迫るS12編成、痺れますねぇ。もしも最初の光量のままだったら、列車を止めることが出来ず悔しい想いをしていたことでしょう。惨敗にはならず、本当に救われました。 が、しかし。実はこの一枚も原寸大での精度はかなり甘かったりします(汗)。まずはピント。その場では抜かりなく合わせたつもりだったのですが、撮った写真を見直してみるとどうも前ピン気味なんですよね(涙)。それから、問題のシャッター速度。この設定でも既に常用外のISO感度だったので、それ以上感度を上げたくなく1/200で撮影したのですが、結局完全には止め切れず終いだったのです。やはり少々画質が粗くなってもあと一段ISO感度を上げておくべきでした。S12編成が"S12"であるうちにもう一度リベンジ出来る機会があることを今は唯々願うばかりですね。 夜明けの激戦を終えると、S12編成の田沢湖線・奥羽本線内における走行試験の追い掛けも遂に幕引きの時を迎えます。あとは仲間の方に盛岡まで送って頂き、そこから併結編成を追い掛けて再び北上へと向かうのでした。 |
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第20章『夢追編』はここまでです。18日の夜から19日の朝に続き、20日の夜から21日の朝もS12編成は人知れず田沢湖線・奥羽本線内を疾走していました。撮影行程は初回と似ていましたが、その時撮れなかった風景も新たに記録出来ましたし、同一のカットにおいてもより良い条件下で狙えたので、収穫多き一晩だったことは間違いないでしょう。最終決戦では悔しい想いもしましたが、結果はどうであれ、あの場所でS12編成の勇姿を迎え撃つ機会に恵まれてとても有難く思っています。ご一緒させて頂いた仲間の方にも感謝感謝ですね。さて、そんな波乱万丈な2012年秋の東北遠征も、残すところあと二日。21日の日中も遠征最終日の22日も、朝から夜まで可能な限り併結編成を追い掛けて鉄路を奔走していました。そんな二日間の活動を綴った撮影紀行が次の第21章『混戦編』です。失敗も多々ありましたが、締め括りには相応しい内容かと思いますので、是非とも引き続いてご覧下さいね。 |
*** 第20章 夢追編 終 *** |
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