続く第15章『探訪編』は11月12日分の撮影紀行です。12日の日中は秋田車両センターで行われたS12編成の車両見学会に赴いて来ました。また、日中だけでなく夜も沿線へ繰り出して活動していたので、見応え十分な内容に仕上がっているかと思います。 |
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12-1.初探訪の地を前に |
12日は08時過ぎには出発準備を整え、公共交通機関を使って秋田車両センターへ。私にとっては同センターへ訪問する初めて機会だったこともあり、期待で胸が一杯でした。見学会当日は雲一つない秋晴れで、とても気持ちの良い朝だったことを覚えています。しかしその一方で、車両の撮影条件に関しては、好天に恵まれた故に残念な状況になってしまうだろうことが、車両センター到着時に一目で分かりました(汗)。 |
というのも、車両センター内ではおよそ北北西−南南東向きに線路が敷かれているため、撮影が許可されていた17号車側は終日逆光になってしまうんです。まぁ、それに関しては元々承知の上だったので大きな問題ではなかったのですが、予想外だったのは当日の車両の留置位置でした。まさか留置位置が検修庫の真隣…それも建物のすぐ東側だったことには参りましたよ(汗)。線路が北北西−南南東向きの角度で、車両のすぐ東側に建物があるということは、車両がほぼ終日建物の影で白黒の斑模様になってしまうか、その建物の影の中にあるかのどちらかになってしまうことに他なりませんからね。折角の機会だっただけあって、これには流石に肩を落としました(溜息)。でもまぁ、どれだけ落ち込んでも事態は変わりませんから、出来る限り最良の撮影をしようと心に決めて、正門前へと急ぎます。 | |
すると、そこにもちょっとびっくりな光景が広がっていました。列が予想していた長さよりも長かったんですよね。でも、何とか定員に達する前に並ぶことが出来たので、ほっと一安心です。そして、待つこと小一時間。いよいよ10時半過ぎに受付が始まると、20分程で私も整理券を手にして場内へ入ることが出来ました。 |
12-2.入庫列車を迎え撃つ |
整理券の順番の兼ね合いから、見学時間が来るまでは着発線を望める場所で検修庫への入庫列車を狙います。奥に洗車機があったので、それを入れて写してみたり車両を望遠気味に狙ってみたりと、構図を少し変えては30分おきにやって来るE3系を迎え撃っていました。併せて、このタイミングで旅の後半にご一緒させて頂く仲間の方々とも合流。列車の往来がない時間帯は、集まったメンバーで談笑しながら過ごしていました。 |
↑ 3017M |
↑ 3019M |
敷地内でのカットはやはりどれも迫力がありますよね。こんな構図が狙えるのも一般公開ならではです。また、撮影の合間に所員の方へ伺ってみたところ、車両見学の時間は整理券の時刻を過ぎていれば何時でも良いとのこと。それ故、この場所には13時頃まで居座って撮影を続けていました。新幹線車両としてはE3系一形式のみでしたが、遠方から訪れている私にとってはとても有意義なひと時だったと感じています。 |
12-3.迫り来る決戦の時 |
13時過ぎに3019Mを撮り終わると、整理券に書かれていた集合場所へ。そこで所員の方の説明を受けた後に、5名〜10名のグループで纏まって車両横へと向かいました。いよいよS12編成と一戦を交える時です。車両横にて前のグループが車内から出てくるのを待つとのことだったので、その間に少しだけ外観を撮ってみました。とは言っても、車両全部が建物の影の中なので取り敢えずの記録写真程度の仕上がりですが…(汗)。 |
こうやって写真を見返すと、この日ばかりはどんよりと曇って欲しかったとつくづく感じますよ。因みに、見学時間をずらした理由はS12編成が検修庫の影に完全に覆われるのを待っていたから。というのも、開場前に既に検修庫の影の一部が同編成に掛かり始めていたんですよね。 |
もしその状態で外観を撮影すれば、陽の光が当たっている部分とそうでない部分の光量差が著しく、斑模様の哀しい仕上がりにしかならないことは明らかでした。さらに、車両側面もこのように光の当たらない逆光側しかまともに写せない状況。となれば、車両全部を影の中に入れてしまった方が光量の差はなくなるので、まだ増しではないかと考えたのです。結果としては、この判断は正しかったかな。でも、やっぱり曇って欲しかった…(汗)。 |
12-4.いざ車内へ |
前のグループが車両から出てきたら、いよいよ私達の番。所員の方に案内されて17号車の扉より車内に入ると、遂に決戦の火蓋が切って落とされました。営業に就いていない段階で量産先行車の車内を見られるともなれば、気持ちも高ぶります。E5系のように量産車で内装が変更になってしまうことも十分にあり得るので、量産先行車の貴重な車内を一枚でも多く撮ろうと心に決め、デッキから客室内へと入りました。 |
17号車は一番のお目当てとも言えるグリーン車。持ち時間は3分程度だったので、椅子に腰を下ろす間も惜しんで懸命に写真を撮り続けます。ただ、焦る気持ち故になかなか納得のいく構図が浮かばず(汗)。結局、車内全景と一部の座席及び妻面の案内表示押さえたところで時間切れになってしまいました。 | ||
まぁ、こればかりは仕方ないのかな。ここはこの目で直接見られただけでも良しとしましょう。E6系のグリーン車、量産車でも同一の内装なら是非とも早く乗ってみたいものです。秋田の伝統工芸である楢岡焼のうわぐすりの青色と川連漆器の茶色の落ち着いた雰囲気を一度存分に味わってみたいですね。また、もし次にS12編成の車内を見学出来る機会があれば、その時こそは今回の反省を活かした構図で記録をしたいものです。 さてさて、そんなグリーン車での一戦を終えると、次は隣の16号車…に行く前にデッキから多目的トイレをパチリ。勿論この場所も見学エリアです。「ゆとり」「やさしさ」「あなたの」というキーワードは、このように客室以外にも垣間見ることが出来ます。とても広々としていて車椅子の方でも使いやすそうです。こうして少しばかり寄り道をしたところで、次は普通車の16、15号車へと向かいます。 |
普通車ではグリーン車程厳密に見学時間が設けられていた訳ではなかったので、ゆっくりと撮影に勤しめました。お陰でこちらでは納得のいく構図で撮ることが出来たので満足しています。普通車にも各座席に枕が付いていたり、床に稲穂の模様が拵えてあるなど、細かな気配りやデザインが印象的でしたね。 | ||
こうして15号車まで一通り撮影しながら散策すると、車内見学は終了。14号車から東京よりは非公開エリアだったので、15号車東京方の扉から外へます。最後に残りの時間で車両の外観をもう一度記録し、慌ただしかった本命の一戦もこれにて幕を下ろす運びとなりました。 |
12-5.締めはまさかのR1編成 |
S12編成の見学ツアーを終えて制限エリアから帰って来ると、次なる獲物を狙うべく再び着発線を望める場所へ。というのも、実はS12編成を制限エリアで撮影していた際に下って行った3021Mが何と量産先行車のR1編成だったんですよ。そうと分かれば、同列車の入庫を狙わない訳には行きません。午前と同じ場所に陣を構えて急いで臨戦態勢を整えると、すぐにR1編成が着発線へ入線して来ました。 |
↑ 2枚とも、3021M |
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光線状態も非常に良い感じだったので、文句無しの仕上がりになったと思います。ピントも外すことなく抜群の条件で迎え撃つことが出来ました。秋田車両センターでの締めの撮影がまさかR1編成になるとは思ってもいなかったので、嬉しい限りですね。そしてR1編成の入庫を無事に記録し終えると、秋田車両センターからは撤収。その後は少しだけ沿線へと出向いた後、秋田市内を後にしました。 |
12-6.福島 ・ 山形夜更けの陣 |
秋田車両センター撤収後は、仲間の方の車に合流させて頂いて一路南へ。秋田道と東北道を経由して目指した先は、何とおよそ300kmも南に位置する福島県でした。所要時間にして約4時間の大移動です。というのも、12日の夜が偶々S51編成の山形検測の実施日だったんですよね。同編成による在来線区間の検測はおよそ三ヶ月に一回しかないため、折角走るならばこの目で見てみたいと思い、出撃するに至りました。 秋田道秋田中央ICより高速道路へと流入し、車を走らせること約4時間。21時頃に漸く東北道福島飯坂ICへ到着した私達は、市内で雑用を済ませた後で奥羽本線の庭坂駅へと向かいました。山形検測では福島駅の奥羽本線側の設備も検査する関係で、庭坂駅で一旦折り返すからです。福島駅新幹線ホームからこの庭坂へ下って来たS51編成は、折り返し同駅に戻り今度は地上ホームに入線。その後改めて新庄方面へ下って行くような運用になっています。12日も22時55分過ぎに怪しげな光を煌々と輝かせながら、この庭坂駅へS51編成がやって来ました。 |
↑ 2枚とも、9945M - 9946M |
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停車後まずは新庄側から編成写真を撮影。やはり新幹線ホームで撮影するのとは全く違う雰囲気になっていますね。周りが真っ暗なので、余計に怪しさが引き立つのかな。また、夜の庭坂バルブと言えば投光器の光に怪しく照らされたパンタグラフを撮影してみえる方も多いので、私もそれに倣って一枚。こちらも良い感じに写せました。ただ、一つ悔やまれるのが東京方から編成写真が無い点です。これまで目撃されていた時間よりも何故か5分程度早く列車が発車してしまったため、写すことが出来なかったんですよね。う〜ん、何とも残念です(溜息)。でもまぁ、新庄側からの編成写真を撮れただけでも行った甲斐はあったでしょうから、それはそれで良しとしましょう。 |
↑ 9947M |
福島駅の地上ホームへ戻るS51編成を見送ると、次は折り返し新庄に向かって下る9947Mを狙い撃つため、再度臨戦態勢を整えます。ただ、奮闘はしたのですが、下りの9947Mは微妙な結果に終わってしまいました(汗)。もう少し顔が同調してくれたら良かったのですが…(汗)。やはり流し撮りはいつ撮っても難しいです。また、9947M迎撃後は同列車を追い掛けて夜な夜な山形県は大石田町へ。今度は駅の北に位置する踏切より、新庄から折り返し福島へと上る9948Mを狙いました。 |
↑ 9948M |
本当は大石田駅の構内に入れると良かったのですが、S51編成が停車する駅は、日付が変わる前に居た庭坂駅を除き、どの駅も終列車後に締め切られてしまうためそう上手く事は運ばれず…。踏切での一戦もまずまずといったところでしょうか。でも、同編成を在来線区間で撮影する初めての機会だったので、良い記録にはなりました。9948Mを撮影し終えると、S51編成の追い掛けにも切を付けて再び北へと移動を開始します。次なる目的地は何と青森県。またしても300km超えの大移動とは…。 |
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以上が11月12日の撮影紀行、第15章『探訪編』です。秋田車両センターにおいては、やはり量産先行車であるS12編成の車内をこの目で直に見られたことが一番大きな収穫でした。さらにそれだけでなく、R1編成にも巡り会えたので嬉しく思っています。また、夜更けにはS51編成の山形検測も追い掛けたりもしたので、振り返ってみれば、12日は朝から夜遅くまでとても密度の濃い一日を過ごしていたことになるんですよね。しかし、2011年秋の遠征はこれで終わりではありません。さて、残りはあと二日。この二日間もなかなか濃い二日間でした。それを綴ったのが次の第16章『再攻編』です。次章は11月13日と遠征最終日の14日の二日分の活動をぎゅっと凝縮した、あっと驚く内容になっています。まだまだ見どころ満載ですので、是非とも引き続いてご覧下さいね。 |
*** 第15章 探訪編 終 *** |
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