*** CONTENTS ***
00.Prologue 01.Encounter 02.Preparations 03.Fighting 04.Meet Again 05.Interception
06.Try My Best 07.Decisive Stage 08.Connection-1st 08.Connection-2nd 09.Mission Again 10.Quest for Dreams
11.Fulfill My Wish 12.Firsthand Inquiry 13.March Onward 14.After the Gale 15.Final Approach 16.Epilogue



 第1節に引き続き、ここでも2008年09月19日に行われたS9編成とS10編成の併結走行試験の模様を中心にお伝えします。併結走行試験の後半戦から2008年秋の東北遠征の締め括りまでを綴ったのがこの第8章『併結編』(第2節)となっています。

19-5.新花巻に賭けるも…
 新花巻は待避線のない駅ですが、今回は僅かな時間ではあるものの停車とのこと。そのため、足回りまできちんと写せるとだけあって今回の2往復目の往路はこの駅にしたのです。しかし、1つだけ大きな問題がありました。それは停止位置。新花巻に停車する下り列車は全て駅の先端にて停まります。E2系ならば停車しても編成全体が入りますが、それよりも鼻の長いE955形では停車してしまうと全体が入らなくなってしまう恐れがあったんですよね。でも、何とか入るのではないか…、そしてひょっとしたら正規の停止位置の少し手前で停まるかもしれないという想いが捨てきれなかったので、新花巻で撮ることに賭けたんですよ。
 そんな期待と不安が入り混じる中でも刻一刻と時間は過ぎて行きす。既に陽は沈み、辺りは夜に。時刻は18時を15分ほど過ぎた頃だったでしょうか。下りホームに回送列車入線のアナウンスが入電。今回は停車時間もそれ程長くはなかったので、入線から発車まで動画もノーカットで撮影。緊張が高まる中いよいよ併結編成の到着です。段々と近づいてくる列車。流し撮りの準備も万全の状態で待ち構えました。そして…。
まず、流し撮りは辛うじて撮れました。しかし、懸念事項が現実のものとなってしまったんです。停車した位置では鼻が長すぎて編成全体が入らず。この光景を目にした時、賭けに負けた悔しさで胸が一杯になりました。また、入線の流し撮りもISO感度をもう一段上げてシャッター速度を速くするべきだったと後々悔む結果に終わり、さらに悔しさ倍増といった感じですね。
2枚とも、9875B ↓→   
停車後は急いで併結面を撮りに行きましたが、上手く撮れないうちに併結編成は動き出してしまう始末。何とか後追いで1枚撮影するのが精一杯な状況で、結局満足行く画を撮ることが出来ないまま終わってしまったのです。本当は見られただけでも満足すべきなのですが、やはり見たからにはしっかりと記録に残しておきたいという想いは強く、それを考えるとこの新花巻での撮影を成功と言うには程遠いような気がしてなりません。
 しかも、1つ手前の北上では17分も停まっていたので、それを考えると余計に北上へ行けば良かったと後悔する結果になりました(涙)。北上は下2番線に入線するとのことだったので、足回りこそ写らなかった訳ですが、それでも17分も停車時間があれば併結面や車内など数多くのパーツ撮りが出来たはずです。特に、S10編成は第5章のまえがきにも書いたように余命幾許も無い状況な訳で、私にとっては元気に走っている姿を見られるのは今回で最後の可能性が高い。それ故に、9875Bが新花巻を去った直後はあの伝説のJ1編成のラストランで失敗した直後に味わった悔しさと同じ気持ちで一杯でした(汗)。
 …でも、まだ望みはある。そうです。まだ2往復目の上りが残っているのです。2往復目は上本線へと入線する仙台で撮影予定でした。今度こそ失敗は許されません。そして、新花巻や北上で撮り損ねた分のカットをどれだけ多く撮れるのかが勝負の見極め所。そんな訳でより一層気合いを入れて、2008年秋の東北遠征では最後となるS9編成・S10編成の撮影に挑むべく、仙台へと向かいます。
19-5.仙台〜最後の砦〜
 66Bで仙台に入ると、すぐさま上りホームへ急行。後続の9876Bへの迎撃態勢を取ります。2008年07月に行われた時は下1番線への入線でしたが、今回は上本線入線。足回りまでしっかりと写せるとだけあって、非常に楽しみにしていました。案の定、66Bが発車してすぐに上りホームへ回送列車入線のアナウンスが入電。下りの北上と同じく、やはり前走りの列車にかなり接近しての入線で早着な感じがしましたね。


 ↑↓ 8枚とも、9877B


 ↑ 9876B
 入線後はまず東京方より編成写真を撮影。その後は1両ずつ形式写真を…と思ってE954-2までは撮りましたが、流石にこれでは他のカットを撮る時間がなくなってしまうだろうと判断して中止。すぐさま編成の中央へ行き併結部分を撮影しました。北上とは違って距離が近い分、満足の行く構図を見つけるのに苦労したなぁ。でも、ここで下本線に5091Bが入線する関係で一旦撮影は中断。束の間の小休止といったところです。で、この僅かな時間を利用して残りの撮影計画を確認し、いざ発車を待って再び撮影再開…と行きたかったのですが、この5091Bが曲者でした。何でも乗客の対応をしているとかでなかなか発車してくれなかったのです(汗)。その間も時間は刻一刻と過ぎていく。
呆然と立っていても仕方ないので、急遽予定を変更して上りホームへと移動。連結面のアップを撮影して来ました。これも是非押さえておきたかった1枚ですからね。そして、それを撮り終える頃に漸く5091Bが3分延で発車。下本線が空いたことを確認した上で、再び下りホームへと移動します。
下りホームに戻ると今度はS10編成のパーツ撮り。窓から車外に何か怪しげな配線が伸びていたりする光景は、まさに試験車両と言う感じです。パンタグラフ周りや16号車E955-6のネコミミ撤去痕もしっかりと記録しました。とにかく無我夢中で撮っていたように思います。その後S10編成側から見た編成の全景を何枚か撮影したところで遂に発車時間。S10編成とS9編成の併結列車は走行試験を終えて仙総所へと帰って行きました。
 そして、これにて今回の遠征におけるE954形・E955形の追っ掛けも無事に全て終了。新花巻や北上で撮り損ねた分も何とか撮影することが出来たので本当に嬉しく思います。欲を言えば、S10編成の車内の写真を撮影出来なかったのが悔やまれるところですかね(汗)。でも、それもパンタ周りや配線類を撮った写真で何とか窺い知ることは出来るので良しとしましょう。
 その後はすぐさま撤収作業を行い、20時26分仙台発の3030Bへ乗車。ただ、とにかく時間が迫っていたので焦りました。まだ撤収作業をしているのに列車が入線して来たくらいですからね(焦)。危うく乗り過ごすかと思いましたが、間に合って良かったです。
19-6.3030B(J編成+R編成): 仙台20時26分発→東京22時08分着
 車中では仙台で合流した仲間の方々と一緒に今回の遠征の振り返りタイム。話に華が咲いたのか、気づくと既に首都圏に入ってしまいました。しかし、ここで問題点が1つ。当初の計画では東京にてMLながらに乗り換えて中部地方へと帰る予定だったのですが、19日は台風13号が関東地方に接近した関係で、当日夜の夜行列車が全て運休になってしまっていたんですよね。とは言え、東北地方にいる間に台風が来なかっただけでも幸いなことですし、迷走して日本への接近が遅れてくれたことで現地での天気も持ち堪えてくれた訳ですから、足止めを食らうのは覚悟の上。
今回はご一緒した仲間の方の家に1泊させて頂くことが出来たため、他に宿を取る必要もなく非常に助かりました。運休の知らせを聞いた時は『やはり来たか…』という感じでしたが、こうして関東地方で無事に一夜を明かすことが出来たのでありがたく思っています。
20-1.9A(W2編成): 新横浜07時49分発→名古屋09時13分着
 台風が通り過ぎるのを待ちつつ朝を迎えると、いよいよ帰名の時。天気が良ければ撮影しながら帰るのもありかな…と思ったのですが、生憎の曇り空だったため直帰決定。選んだ列車は勿論9Aです。名古屋以東で500系に乗ることは案外少ないので、この機会にと思いまして。車内では500系ならではのものを撮影したりして寛いでいました。
 東海道区間で500系が活躍出来るのもあと少しではないでしょうか。というのも、2009年度には全ての直通『のぞみ』をN700系に統一するという公式発表がなされている訳ですから、500系が東海道新幹線で活躍出来るのは最長でもあと1年半。
下手すればもっと早いのかも知れません。だとすれば、東海道から16両編成の500系が完全に撤退してしまう前にその勇姿を後悔のないように撮影していかなくてはいけない…今回の乗車でそう改めて感じました。
*** 車内放送 ***
 ・ 9A 新横浜入線
 ・ 9A 名古屋到着
 新横浜を発車して約1時間20分で9Aは遂に名古屋へ到着。そして、これにて2008年秋の3泊5日に渡る東北遠征の全行程が終了したという訳です。後は、充実した5日間を振り返りつつ在来線を乗り継いで帰宅の路に就きました。

▼.第5章〜第8章執筆を終えて
 2008年09月の5日間に及ぶ二度目となる東北地方への遠征では、2007年09月に行った時と同様に数えきれないくらい多くの収穫を得ることが出来ました。長かったようでとても短かったような…はたまた短かったようでとても長かったような5日間でしたね。一番の目的であったE954形とE955形の走行試験も沢山撮影することが出来て、とても沢山の成果を見出せた旅だったと思っています。確かに悔しい思いも沢山しましたが、全てが自分の思い通りに行くことなど滅多にありません。そう言った意味でも非常に充実感溢れる5日間だったというのは間違いないでしょう。特にS10編成単体での走行試験や併結走行試験に関しては、余命幾許も無いようなS10編成の姿を見る限り常に『最後の走行となるのかも』…という思いが付き纏っていました。遠方に住む私にとっては今回の撮影がS10編成の勇姿を拝める最後の機会であると考えています。
両者が併結して走行試験を行う姿も私にとっては最初で最後の光景となったことでしょう。
 加えて当初は台風が接近していたこともあり、4日間のうち何れかの日の走行試験が運休になるかもしれないという不安材料もありました。しかし台風にも願いが通じたのか、その影響を受けたのは帰りのMLながらが運休になったことくらい。だからこそ、旅を無事に終え、今回こうして密度の濃い撮影紀行を執筆出来る運びとなったことは非常に嬉しいことだと思っています。この遠征で撮影した写真の枚数は300枚以上。それも昨年とは違って沿線で撮っていた回数が多いことを踏まえれば、今回の遠征でいかに沢山の収穫があったのかがお分かり頂けるかと思います。そして、これだけの枚数を撮影することが出来たのもいろいろな方のご支援があったからこそですよね。さらに撮影先では数々の貴重な出逢いもあり、そのお陰でとても楽しく旅をすることも出来ました。ここに、この場をお借りして今回の遠征に関わって下さった全ての皆様に対してお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。また、いつも当サイトにお越し下さっている皆様には大変感謝しております。ありがとうございます。これからもご来訪下さる皆様方のご期待に添えることが出来るように努力して参りますので、当サイトを末永く宜しくお願い致します。
 さて、2004年02月に製作が発表されたE954形とE955形ですが、E955形は間もなく、そして長期耐久試験の真っ最中であるE954形でさえも程無くして現役を引退する時期を迎えます。前者のE955形が2006年の落成から僅か2年足らず、後者のE954形でも2005年の落成から僅か3年足らずしか経っていないことを考えると、試験列車というのは儚いものだとつくづく感じますね。
しかし、多かれ少なかれまだ引退までの時間は残っている。だからこそ2008年秋のこの東北遠征を最終章とはしなかったのです。2009年の春先までを目途にまた再び東北地方に出陣し、雪中のE954形を捕らえることが出来れば…そう強く願っています。今までは晩夏から初秋にかけての撮影ばかりでしたので、雪の舞う時期に撮影に行くことが出来ていなかったんですよね。今度は雪煙を上げて鉄路を駆け抜ける彼らの勇姿を捕らえるのが目標といったところでしょうか。引退を目前に控えつつも、最後のひと踏ん張りを掛ける彼らFastech360の華麗なる勇姿に夢を託して、今後も追い続けて行きたいものです。

*** 第8章 併結編 終 ***
2008.09.26 THE SUPER EXPRESS since 1964 管理人 YOS

◆.追記
 2008年秋の二度目となる東北遠征からはや5ヶ月が経ち、E955形は姿を消しました。当時予測していたように、E954形とE955形の併結走行試験は私が出撃した2008年09月19日が最後となり、E955形の走行試験も2008年10月01日をもって終了。その後S10編成は2008年12月にかけて全車両が解体され、2009年03月現在ではもうその姿を見ることは出来ません。残るE954形S9編成もあと僅かでE955形の後を追うように消えて行くでしょう。でも、そうなる前にもう1度E954形の勇姿を見届けたい…そんな想いは増すばかりでした。そこで、2009年02月23日〜02月25日の3日間を使って再び東北地方へと出陣。それにより三度目となる東北遠征が実現したという訳です。次章第9章『再撃編』から第11章『叶願編』まではその時のE954形の勇姿を記録した撮影紀行となっていますので、是非そちらの方も引き続いてご覧下さいね。

2009.03.07 THE SUPER EXPRESS since 1964 管理人 YOS



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