*** CONTENTS *** Preparations Interception


 2008年10月24日に博多〜新山口間にて公式試運転を行った山陽九州直通用N700系の量産先行試作車両S1編成。2011年春の九州新幹線鹿児島ルート全線開業に合わせて営業運転を開始するまでの間、このS1編成を使用して日夜様々な走行試験が行われることになっています。暫定的な試験車両としての役割を与えられた同編成は、公式試運転後に測定用センサー類や照明器具等を車両各所に取り付けて同年11月より本格的な走行試験を開始しました。ただ、試運転は主に終電後にかけての深夜帯に行われているため、日中にはまだなかなか姿を見られません。しかし、深夜帯の走行試験でしか見ることの出来ない非常に貴重な光景というのも多々あります。駅への逆走入線や駅間における停車、本線の逆走などがその一例と言えるでしょう。加えて、そのような特徴的な走行試験というのは長期に渡っては行われないのが殆どです。
それを裏付けるかのように、Z0編成の浜松や静岡からの上1番線逆走出線やN1編成の10両短編成化試験も短期間で過去帳入りしています。となれば、これは見に行ける時に行かないと後悔するに違いない…という訳で、今回はその貴重な光景に立ち会うのと同時に、そんなS1編成の勇姿を少しでも多く捕えるべく、急遽21日より1泊2日で山口県へと遠征して来ました。
 また、併せて11月22日早朝には待望の広島入線が実現。着々と試運転区間の延伸が図られて来ているようです。もう少しすれば試験列車お馴染みの日中に新下関〜新山口を6往復する走行試験もあるのではないかな。

 では、まず最初は21日分の撮影日記である『臨戦編』からです。

************************** 電車運用 **************************
 11/21
 新 山 口
 
 S01 
 
8940A - 8941A - 8942A - 8943Aヨ - 8944A -
8945A - 8946A
************************** 電車運用 終 ************************

21-1.西下、目指すは新山口
 21日は夕方からの出動となりました。名古屋を17時04分に発車する700系充当の9249Aに乗車。本音は300系であって欲しいと期待したのですが…(汗)。新大阪で暫し休憩して483Aへと乗り換えると、岡山、広島を通り越して新山口には21時25分に到着。ホテルへのチェックインを済ませ、22時前には再びホームへと上がります。
*** 車内放送 ***
 ・ 483A 新山口到着
21-2.戦いの幕開け
 ホテルからホームへと戻って来たのは22時ちょっと前。21日最初のS1編成は下1番線に博多方面から逆走入線するとのことでしたので、まずはそれを狙うべく485Aで構図を調整します。それも終わって20分程待つと、22時16分に回送電車到着のアナウンスが下りホームへと入電。博多方面からS1編成が近づいて来ました。緊張のひととき…。
 ← 8940A
到着後尾灯に切り替わるまではそう時間がないため、いつも焦りますよ。この後はパーツ撮りをしながら徐々に1号車の方へと行き、反対側からも編成写真を1枚。その後折り返し8941Aとしてすぐにまた西へと下って行きました。尚、入線時の様子は動画でも撮影したので、そちらの方も是非ご覧下さいね。


 ↑ 8940A 新山口入線


 ↑ 8941A
 そして、この8941Aの発車を見届けて21日の活動は終了…という訳では当然ありません(汗)。急遽出動したからにはまだまだ話は続きます。
21-3.決戦、対S1
 8941Aの発車を見届けると、折り返しの8942Aが戻って来るまでは暫しの休憩時間です。1時間程ありましたが、居合わせた仲間の方々との話に華を咲かせているとあっという間でしたね。新山口を出発する列車は下りの487Aが最終列車なのですが、新山口止の最終列車がまだあるため、この時間であってもホームには居られるんです。…時は23時17分、本戦の時間が近づいて来ました。
 23時20分、S1編成が再び新山口へと帰還。駅の西側にある渡り線の手前で停車し、この日の最終営業列車である53Aの通過を待ちます。来る3連休に向けて地方へと移動する方々が多かったために博多行最終の53Aも自由席が大混雑だったのでしょう。広島発車時に10分程の遅れが発生しており、21日は32分頃の通過となりました。そして、この53Aの通過で遂に戦いの火蓋が切って落とされます。
 53Aが通過して1分程経つと、渡り線手前に停車していたS1編成がゆっくりと駅に向かって動き始めました。いよいよです。緊張と期待で胸が一杯のひと時でしたね。いつもと違った点と言えば、これだけ列車が駅へと近づいて来ても下りホームに列車の入線を知らせるアナウンスが入電しなかったことでしょうか。けれども、これは機械の故障ではありません(汗)。その理由は至って簡単。何故ならその必要がないからです!
 ← 8942A
 何事!?…という感じの1枚ですよね。アナウンスが必要ないのは、このように下1番線ではなく本線へと入線して来たから。これが下1番線への逆走入線ならば、早朝の750A-757Aや全検明けの試運転列車などでも営業時間帯に見られます。しかし、本線への逆走入線となると営業時間帯ではまず有り得ません。さらにそれだけでも貴重なのに、それに加えて通過ではなく停車&折り返しと来れば、もう是が非でも出撃せずにはいられなかったという訳です。これぞまさに冒頭に述べた「深夜帯の走行試験でしか見ることの出来ない非常に貴重な光景」そのものでしょう。
 下本線に豪快に停車したS1編成は折り返しのため、暫くするとライトが尾灯へと切り替わります。今度は上の写真よりも僅かに望遠気味に1枚。因みに、その横は入線時の様子を動画で撮ったものです。
 8942A 新山口入線 ↑ 
8号車側からの全景を一通り撮影し終えると、次は1号車側へ。こちらからも編成全景を押さえます。本線に堂々と居座る光景というのにはやはり違和感を隠せませんね。さらに、1両ずつ各号車の形式写真も撮影。公式試運転時にはなかった投光器が2号車と7号車のパンタを煌々と照らすその姿は如何にも試験車両という感じがしました。V3編成のようにドア灯の穴から豪快に…という感じではありませんでしたが、2号車のパンタカバーにも銀テープで覆われた配線を発見。それ以外にもセンサー類を固定する銀テープが車体の所々にちらほらと見受けられたかな。折り返し発車までは25分程時間があったのですが、1枚1枚に掛かる撮影時間が昼間よりも長かったこともあり何だかあっという間でしたね。夜が更けていくにつれ気温も段々と下がって来ていましたが、そんなことはお構いなしという感じの本当に熱いひと時だったように思います。
 投光器で照らされた集電系統は望遠でも撮影。この2枚も怪しさ抜群ですよね。個人的にはかなり気に入っています。
 とまぁ、とにかく無我夢中でS1編成を撮影していたものの、ここに来て遂に発車時間を迎えることになってしまいました。23時55分…ブレーキ緩解の音が鳴り響くとS1編成はゆっくりと動き出し夜の闇の中へ。停車時間は25分程ありましたが、撮影するのは海側がやっとというところでしょうか(汗)。山側からの写真は殆ど撮れず、2号車のパンタを望遠気味で撮ったのみとなっています。因みに、本来は23時51分からの4分間で新山口止の最終列車である681Aと並ぶ予定でしたが、53Aの遅れの影響でその681Aも約10分遅れて新山口へと到着。そのため、惜しくも並びは実現しなかったものの、その本来塞がれるはずの4分間も障害物無しで撮ることが出来たんですから、良い意味に捉えれば寧ろ有り難かったのかもしれませんね。
 こうして夢のような25分間が終わると、ホームからは撤収しホテルへと戻ります。尚、道中に知り合った方の話によれば、同日深夜帯の走行試験は新山口基準新下関間2往復で、
最終的には新山口上1番線にて滞泊するとのことでした。しかし、撮影したくとも駅構内を見渡せるような場所がないため、捕獲は諦めざるを得ず。これにて21日の活動を終えたという訳です。



 
以上が21日の撮影日記です。貴重な光景をこの目で見届けることが出来、本当に良かったですよ。急遽西へと出向くだけの価値は十二分にあったのではないかな。そして、翌22日もこれまた早朝からS1編成の追いかけを開始。密度の濃い1日を過ごしました。そんな、22日の活動を記した次の『迎撃編』も是非引き続いてご覧下さいね。

*** 臨戦編 終 ***



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