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<The Analysis of Fastech360Z *** E955形解体新書 *** > |
2006年04月06日深夜、東北新幹線の鉄路に新たな高速試験電車の脈動が響き渡った。名は"Fastech360Z"。正式には"E955形S10編成"という呼称を持つ。このE955形は2010年12月に東北新幹線八戸〜新青森間が開業するのに先立ち、JR東日本が同線区内を走る列車の更なる高速化と環境水準の向上を実現させるためにE954形と共に開発した試験車両。E955形自身はE954形の走行試験開始からおよそ10ヶ月程遅れての登場ではあったが、高速試験専用に造られたその車両はエクステリア・インテリア共に斬新なデザインが採用され、他の新幹線車両を凌ぐ圧倒的な存在感を醸し出していたことだろう。また、それまでの新在直通の新幹線車両には見られないような最新技術も各所に導入されたはずだ。両者とも非常ブレーキ作動時により早く停まることが出来るように空気抵抗増加装置が設けられており、それが猫の耳に似ていたことから、『ネコミミ新幹線』という愛称もあった。ここではおよそ今から10年前の2000年に遡るその開発の経緯と、E955形S10編成の詳細を可能な限り紐解いてみることにしよう。 尚、E954形及びE955形の開発経緯は共に同じであり、両者に共通して採用された技術項目も数多い。従って、本書とDataBase内『 The Analysis of Fastech360S *** E954形解体新書 *** 』では内容が一部重複している。その旨どうか御了承の上、御覧頂きたい。 |
T.世界一の新幹線を目指して 〜 Fastech360Z登場前夜 〜 | |
JR東日本は2000年11月に2001年から2005年までのグループ中期経営構想『ニューフロンティア21』を策定した。この構想は「顧客価値の創造・顧客満足の追求」・「技術創造による業務革新」・「社会との調和・環境との共生」・「働きがいの創出・活力の創造」・「株主価値の向上」を経営の基盤とし、今後予想される「グループを取り巻く今後の経営環境の変化」に柔軟に対応していくために、JR東日本グループの目指す具体的な取組みを定めたものである。さらに、その中で『世界一の鉄道システムの構築』という目標を掲げ、それに基づいて2002年04月に『新幹線高速化推進プロジェクト』を社内に発足させた。 『新幹線高速化プロジェクト』は、新幹線ネットワークの拡大に伴うサービスの向上・航空機との競争力強化・世界最高水準の高速化技術を目指して、「走行速度の向上」・「安全性及び信頼性の確保」・「快適性の向上」・「環境への適合」をテーマに営業最高速度360km/hを目標とした新幹線高速化の技術開発を行うためのプロジェクトだ。 |
2004年初めまでの約2年間は技術的課題の整理や要素技術開発を始め、現有車両を使用した高速走行試験などを行っていたそうだ。新幹線高速走行時の基礎データ収集のために実施した現有車両での高速走行試験では、高速化改造したE2系1000番台及びE3系でそれぞれ360km/hと340km/hという速度も記録したとか。そうして、2004年02月。約2年間の基礎データ収集の後に新型車両の礎となる高速試験電車E954形及びE955形の製作発表が為されたのであった。 |
U.徹底追求−E955形"Fastech360Z" |
2006年04月06日から走行試験を開始したE955形。先に登場したE954形での成果もフィードバックされ、さらに高精度な車両となった。ここではその中に詰め込まれた最新技術の数々を可能な限り追求してみたいと思う。尚、下記の選択項目で各項目の詳細内容を以下から抽出可能な作りとしてある。同様にして" 全項目表示 " を選択すると、全ての項目の詳細内容を再度表示させることが出来るようになっていますので、どうぞご活用下さい。 |
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