Last Update : 2009.10.07

<The Analysis of Fastech360S *** E954形解体新書 *** >
 2005年06月25日深夜、東北新幹線の鉄路に新たな高速試験電車の脈動が響き渡った。名は"Fastech360S"。正式には"E954形S9編成"という呼称を持つ。このE954形は2010年12月に東北新幹線八戸〜新青森間が開業するのに先立ち、JR東日本が同線区内を走る列車の更なる高速化と環境水準の向上を実現させるために開発した試験車両。高速試験専用に造られたその車両はエクステリア・インテリア共に斬新なデザインが採用され、他の新幹線車両を凌ぐ圧倒的な存在感を醸し出していたことだろう。E954形の登場から一年遅れて2006年04月には"Fastech360Z"ことE955形S10編成も走行試験を開始した。両者とも非常ブレーキ作動時により早く停まることが出来るように空気抵抗増加装置が設けられており、それが猫の耳に似ていたことから、『ネコミミ新幹線』という愛称もあった。ここではおよそ今から10年前の2000年に遡るその開発の経緯と、E954形S9編成の詳細を可能な限り紐解いてみることにしよう。
 尚、E954形及びE955形の開発経緯は共に同じであり、両者に共通して採用された技術項目も数多い。従って、本書とDataBase内『 The Analysis of Fastech360Z *** E955形解体新書 *** 』では内容が一部重複している。その旨どうか御了承の上、御覧頂きたい。

T.世界一の新幹線を目指して 〜 Fastech360S登場前夜 〜
 JR東日本は2000年11月に2001年から2005年までのグループ中期経営構想『ニューフロンティア21』を策定した。この構想は「顧客価値の創造・顧客満足の追求」・「技術創造による業務革新」・「社会との調和・環境との共生」・「働きがいの創出・活力の創造」・「株主価値の向上」を経営の基盤とし、今後予想される「グループを取り巻く今後の経営環境の変化」に柔軟に対応していくために、JR東日本グループの目指す具体的な取組みを定めたものである。さらに、その中で『世界一の鉄道システムの構築』という目標を掲げ、それに基づいて2002年04月に『新幹線高速化推進プロジェクト』を社内に発足させた。
 『新幹線高速化プロジェクト』は、新幹線ネットワークの拡大に伴うサービスの向上・航空機との競争力強化・世界最高水準の高速化技術を目指して、「走行速度の向上」・「安全性及び信頼性の確保」・「快適性の向上」・「環境への適合」をテーマに営業最高速度360km/hを目標とした新幹線高速化の技術開発を行うためのプロジェクトだ。
高速化の夢を託して待望の実車試験へ
2004年初めまでの約2年間は技術的課題の整理や要素技術開発を始め、現有車両を使用した高速走行試験などを行っていたそうだ。新幹線高速走行時の基礎データ収集のために実施した現有車両での高速走行試験では、高速化改造したE2系1000番台及びE3系でそれぞれ360km/hと340km/hという速度も記録したとか。そうして、2004年02月。約2年間の基礎データ収集の後に新型車両の礎となる高速試験電車E954形及びE955形の製作発表が為されたのであった。
U.徹底解剖−E954形"Fastech360S"
 2005年06月25日から走行試験を開始したE954形。ここではその中に詰め込まれた最新技術の数々を可能な限り追求してみたいと思う。尚、下記の選択項目で各項目の詳細内容を以下から抽出可能な作りとした。同様にして" 全項目表示 " を選択すると、全ての項目の詳細内容を再度表示させることが出来るようになっていますので、どうぞご活用下さい。

α)360km/hの... β)信頼性をど... γ)環境と調和... δ)快適な車内... ε)主要諸元表 全項目表示

  
α)360km/hの扉を開く鍵
  
(1).高速化の要は主回路装置に在り
 E954形は6M2T構成で、両先頭の付随車を除く中間電動車は2両1ユニット構成×3ユニットで組成されている。そして、360km/h運転への要となったのが車両中の主回路装置だ。けれども、ただ単に主回路装置の出力増強を図っただけでは装置自体の重量も増してしまう。高速化を実現する当たっては車両全体を通しての軽量化も不可欠な要素であるため、これでは元も子もない。そこで、同形式では新たに開発された異なる3タイプの小型軽量・大容量主回路装置を各ユニットへ搭載し、それらの比較・検証を行った。
【資2-1.E954形S9編成主回路装置概要】
← 東 京 第1ユニット(1〜3号車) 第2ユニット(4〜5号車) 第3ユニット(6〜8号車) 八 戸 →
主電動機 三相かご形誘導電動機 永久磁石同期電動機 三相かご形誘導電動機 主電動機
主電動機
冷却方式
強制風冷冷却方式 自己通風冷却方式 強制風冷冷却方式 主電動機
冷却方式
主変圧器
冷却方式
強制風冷冷却方式 強制風冷冷却方式 走行風+強制風冷冷却方式 主変圧器
冷却方式
主変換器
冷却方式
走行風冷水冷却方式 強制風冷
沸騰冷却方式
強制風冷冷却方式 主変換器
冷却方式

 第1ユニットの一番の特徴は走行風を利用した水循環冷却方式の主変換装置にある。主変換装置の冷却に水を使用し、その冷却水が循環するラジエータを床下に取り込んだ走行風で冷却する水冷方式だ。これによって電動送風機の重量分だけ軽量化が実現した。尚、主電動機は出力370kWの三相がご型誘導電動機を使用している。
 第2ユニットは永久磁石動機電動機を採用した点が最大の特徴だろう。この永久磁石動機電動機は高効率で且つ発熱量が少ないことから自己通風で冷却が可能。従って、電動送風機を積まなくても良いため、軽量化が実現するという寸法だ。
 第3ユニットでは、主変圧器の冷却方法が見直された。
E954-2山側に設けられた走行風取入口
*** 2008.09.19 9876B 仙台 ***
電動送風機を小型化し、その補助として走行風を用いて冷却する方法を採用。主電動機は第1ユニットと同じ三相がご型誘導電動機が搭載されている。
(2).粘着力を味方に付ける
 E954形では空転し易い先頭車両の力行トルク及びブレーキ力を下げて後部車両がそれらを多く負担することで、編成全体で必要な力行トルクやブレーキ力を確保する編成制御の方式を採用している。これは営業車両を用いた走行試験によって、300km/hを超える領域や雨天時には後部車両で前部車両よりも高い粘着力が期待出来るという結果が得られたことに因るもの。この編成制御によって高い領域での粘着係数の使用が可能となった。
β)信頼性をどう確保するか
  
(1).内周締結方式から中央締結方式へ 中央締結方式のブレーキディスク
*** 2009.09.04 新幹線総合車両センター ***
 安全な高速走行を実現するために不可欠な存在といえばまずはブレーキシステムだろう。中でも、非常時においていち早く且つ安全に列車を停めるための基礎ブレーキは最重要項目であると考えて良い。列車が高速域から非常ブレーキを制動させると、速度の二乗に比例する運動エネルギーは摩擦によって生じる膨大な量の熱エネルギーへと変換される。従って、ブレーキディスクも少なからずその影響を受けることになるのだ。
 一方でこれまで採用されて来た内周締結方式のブレーキディスクは、この熱に対して少しばかり欠点を有していた。
内周締結方式のブレーキディスクはディスク内側に車輪との固定ポイントを設けているため、締結部から外周へと離れる程熱による変形の度合いが増してしまう。変形の度合いが大きければディスク面とブレーキライニングの接触面積が均一でなくなり、摩耗箇所が偏ることになる。またそれだけでなく、熱による変形によってディスク自体の寿命までも短くしてしまうことになりかねない。
 そこで360km/h運転に際しE954形に導入されたのが下の写真のような中央締結方式のブレーキディスクである。この方式ではボルト締結点からディスク両端までの距離が短くなることで、歪みを最小限に留めることが可能となった。また併せてブレーキキャリパも油圧方式から空圧方式へと変更し、構造の簡素化・軽量化を図っている。
(2).台車を常に監視する
 360km/hに走行速度が上がると、当然ながら駆動装置や基礎ブレーキ装置にかかる負荷が増大する。そこで導入されたのが台車モニタリングシステムだ。このシステムは台車蛇行動や車軸軸受などを振動センサー並びに温度センサーで検知することで異常警報を発する仕組みを取っている。これによって常に台車本体や周辺部品の状態を監視し、信頼性を向上させることに成功した。
(3).逆転の発想から生まれた猫の耳
 非常制動時における停止距離の短縮は、地震などに挙げられるような非常時のリスク低減や安全の確保に必要であり重要な課題となっていた。そこで開発されたのが、360km/hからの非常制動でも現行の275km/h非常制動時の停止距離と同等の4000mで停まることを目標にしたこの空気抵抗増加装置である。非常ブレーキに連動した抵抗板が屋根上に一斉に展開されることで、空気抵抗が増加し、停止距離を短縮することに成功した。動くものを考える時には必ず付いて回って来る空気抵抗。いつも悩みの種となっていたそれを逆に有効活用してしまうという何とも大胆な発想と言えるだろう。後にE954形が『ネコミミ新幹線』の愛称で親しまれるようになったのは、この抵抗板の形状が猫の耳に似ていることによるものだ。
γ)環境と調和する
  
(1).車体騒音を抑制せよ
 速度向上の鍵を握っていると言っても過言ではないのが騒音対策である。騒音全体に占める割合は集電系統が一番高く、次いで車体下部音・車体上部音・先頭部音となっているそうだ。E954形に施された騒音抑制対策は幾つもあるが、まずは集電部の騒音対策について見て行こう。
 集電部の騒音抑制対策としてまず最初に行ったのが、パンタグラフの低騒音化だ。主枠のヒンジ部分が騒音源になってしまったE2系のパンタグラフを改良し新たにPS9037型パンタグラフが開発された。このPS9037型は台枠の機器を片側に寄せて台枠自体を流線型ないしはラグビーボール状にすると共に、碍子がオフセット配置となっている。
【 PS9037型(くの字主枠型シングルアーム、7号車E954-7) 】
PS9037型パンタグラフ
*** 2009.02.25 9885B 仙台 *** PS9037型パンタグラフ
*** 2009.05.23 9871E 高崎 ***
また、PS9037型と似たような形で台枠の中にヒンジから下の部分を収めた一本主枠型のPS9038型パンタグラフも併せて開発されE954形に採用されている。先述のPS9037型は7号車E954-7に、後述のPS9038型は2号車E954-2に搭載されることとなった。
【 PS9038型(一本主枠型シングルアーム、2号車E954-2) 】
PS9038型パンタグラフ
*** 2009.05.23 9871E 高崎 *** PS9038型パンタグラフ
*** 2009.05.23 9871E 高崎 ***
(2).トンネル微気圧波を制する
 360km/h運転の実現へ向けた課題の1つにトンネル微気圧波対策がある。トンネル微気圧波とは車両が高速でトンネルに突入した際に発生する圧力波のことだ。その圧力波が音速で出口から放出されることによって、爆発音のような大きな音が聞こえたり、出口の近くの民家の窓ガラスが揺れたりすることがあり、問題になっている。車両側の対策としては先頭部の長さを延ばしたり、先頭形状の最適化や車体断面積の縮小などを行うことが効果的とされている。E954形でも2種類の先頭形状を製作し比較試験を行った。
【 ストリームライン(1号車E954-1) 】 【 アローライン(8号車E954-8) 】
鋭い顔を持つ東京方先頭車E954-1
*** 2009.02.23 9885B 仙台 *** 矢のような形の八戸方先頭車E954-8
*** 2009.02.25 9885B 仙台 ***
 一方はストリームラインと呼ばれる先頭形状で東京方先頭部のE954-1がそれに当たる。500系に似た流線型が特徴だ。他方はアローラインと呼ばれる先頭形状。八戸方先頭部のE954-8がそれに当たり、矢のような形を持つ。E4系とN700系を融合したような形をしており、その断面積変化率はとても穏やかである。
 比較試験の結果、後述のアローライン形状の方がトンネル微気圧波に対する抑制効果が高いことが示された。トンネル微気圧波に有利だったのはアローライン形状と言う訳だ。因みに、同形式の両先頭車は入れ替えが可能な構造となっており、一時期はそれらを方向転換して編成を組んでいたこともあったようだ。
(3).30度で制したパンタグラフ遮音板 車体側面平滑化のために採用された全周幌
*** 2007.09.27 9887B 仙台 ***
 E2系で一旦は廃止されたパンタグラフ遮音板だが、360km/h運転に際してはやはり騒音問題の観点から再び復活した。最初はZ形断面形状の遮音板を搭載していたのだが、実はこの遮音板自体が皮肉にも騒音発生になってしまっていたことが後に判明。試行錯誤を繰り返すことになってしまったようだ。最終的には端部の角度が30度の平形遮音板が騒音防止に最適だという結果に辿り着き、最後までその遮音板のまま走行試験が行われた。
(4).全周幌が車両平滑化に一役買う
 車両の平滑化を行うことも騒音対策には持って来いの方法である。そこで、E954形の車体間では全周幌を用いて連結部を覆うことにより車体側面の平滑化を図った。
当初は側面と上面がそれぞれ3枚、2枚のアルミ板から成る幌を採用していたが、走行試験を繰り返すうちに走行方向によっては幌の隙間に風が入り込んで騒音源になってしまうことが確認されたため、改良を迫られる。改良型の幌はアルミ板の間をゴムで繋ぐ形状となり、これにより隙間を無くすことに成功した。
δ)快適な車内空間を求めて
  
(1).解決の糸口は2度の傾き
 360km/h運転時における乗り心地の評価も速度向上に向けての大きな課題となる。いくら東北新幹線の線形が良いとは言えど、速度の二乗に比例する遠心力には叶わない。275km/hで走行している分には無傾斜でも乗り心地は損なわれないが、それより85km/hも速い360km/hで走行するとなると話は変わってくる。そこで登場したのが車体傾斜装置だ。車両の位置情報と曲線情報からその時の速度や曲線に応じて外側の空気ばねへ空気を送り、最大で2度程車体を傾斜させる。それによって、曲率半径4000mで330km/h、6000m以上で360km/hの走行を可能とした。尚、この車体傾斜装置はE954形と時を同じくして登場したJR東海・JR西日本共同開発のN700系にも採用されている。
(2).横揺れを減らせ 赤色を基調としたE954-6普通車車内を見る
*** 2008.09.16 9888B 盛岡 ***
 左右動揺の抑制も乗り心地向上に大きく寄与する一要素である。そこでE2系に採用したフルアクティブサスペンションを空気式から電磁式に改良。結果的にはE2系においての275km/h走行時以上に乗り心地は良くなり、成果を得るに至った。
(3).静かな車内を目指して
 車内の静粛性を向上させるために、騒音源対策と騒音伝播対策を実施。騒音源対策として駆動装置や主回路等の低騒音化を行い、伝播対策としては客室内の床を弾性支持する浮き床構造や窓ガラスの空気層を厚くした遮音窓構造など採用したそうだ。
この騒音源対策と騒音伝播対策によって、360km/h走行時でもE2系での275km/h走行時と同等の静粛性が得られたと聞いている。
ε)E954形S9編成主要諸元表
 以下にE954形S9編成の諸元表を記載したので、併せてご覧頂きたい。
【資2-2.E954形S9編成主要諸元表】
← 東 京 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 八 戸 →

S9編成 E954-1 E954-2 E954-3 E954-4 E954-5 E954-6 E954-7 E954-8 S9編成


車両長 27500mm 25000mm 27500mm 車両長

車体幅 3380mm 車体幅
車体高 3650mm 車体高
編   成 6M2T 編   成
最高運転速度 360km/h 最高運転速度
設計最高速度 400km/h 設計最高速度
車体素材 アルミニウム合金製中空押出形材 車体素材


種 別 空気ばねストローク式車体傾斜機構付ボルスタレス台車 種 別

方 式 軸梁方式 支持板方式 軸梁方式 方 式
軸 距 2500mm 軸 距
車輪径 860mm 車輪径






主電動機 三相かご形誘導電動機 永久磁石同期電動機 三相かご形誘導電動機 主電動機





主電動機
冷却方式
強制風冷 自己通風 強制風冷 主電動機
冷却方式
出 力 370kW 355kW 350kW 出 力
主変圧器
冷却方式
強制風冷方式 強制風冷方式 走行風+強制風冷方式 主変圧器
冷却方式
主変換器
冷却方式
走行風冷水冷却方式 強制風冷
沸騰冷却方式
強制風冷冷却方式 主変換器
冷却方式
集電装置 ばね上昇式低騒音形シングルアームパンタグラフ(PS9037、PS9038) 集電装置



主回路 VVVF制御誘導電動機駆動制御(編成トルク制御付) 主回路


ブレーキ 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
(滑走再粘着制御、応荷重制御、編成ブレーキ力制御付)
ブレーキ
保安装置 ATC-2型、DS-ATC 保安装置
その他 空気抵抗増加装置(非常制動時に使用) その他

 以上が、E954形S9編成に採用された最新技術の詳細内容だ。本当はまだまだ細かく説明するべきなのだが、これ以上の詳細事項は内容が非常に専門的なものになってしまうのでここで止めさせて頂くことにする。
V.E955形との連結風景
 2008年07月と09月に併せて3回、営業時間帯におけるE954形とE955形の併結走行試験が行われた。この走行試験では併結時の性能確認などが為され、最終回の2008年09月19日には空気抵抗増加装置を使用した非常制動試験も実施された。写真はその時に撮影した連結器周りのカットである。
併結面の両先頭車を捕える
*** 2008.09.19 9871B 北上 ***
E954-8及びE955-1併結の様子を真横から狙う
*** 2008.09.19 9867B 仙台 *** E954-8及びE955-1併結の様子を斜め上から狙う
*** 2008.09.19 9867B 仙台 ***
 両形式の併結走行試験は営業時間帯には指折り数える程しか行われなかったため、このような連結時の様子を記録したカットはとても貴重なものとなった。

W.あとがき 翠玉の風が雪舞う本線へ吹き込んで来た
*** 2009.02.25 9882B いわて沼宮内 ***
 360km/hでの営業運転を目指して世に送り出されたFastech360SことE954形。2005年06月25日から始まった走行試験はおよそ4年間続いた。2009年06月15日の本線最終走行でもって現役を引退し、既に全車両が廃車。お役目御免で解体されている。今はもうE954形の勇姿を直に見ることが出来ないのかと思うと寂しい限りだ。高速試験電車故に僅かな期間しか活躍出来なかったのは実に惜しいが、これは致し方の無いことだろう。
 他方で、同形式の引退と時を同じくして2009年06月15日にはE5系量産先行試作車S1編成も登場、2011年春の営業運転開始に向けて走行試験を開始した。E954形に採用された技術の多くがE5系へとフィードバックされ、実用化へ向けて着実に段階を踏んでいる。最高運転速度は惜しくもE954形の360km/hまで及ばずだが、それでも同形式から数え切れない程の技術を会得したこと間違いない。
 最後に、E954形S9編成Fastech360Sが残した功績の数々をこの場で称え、あとがきの締めとする。E954形S9編成よ、4年間お疲れ様…。

*** " The Analysis of Fastech360S " 終 ***

※参考文献
鉄道のテクノロジーVol.1 『 新幹線 』

 
JR East Annual Report 2001 『 社長インタビュー 』
(http://www.jreast.co.jp/investor/ar/2001/pdf/p06_j.pdf)

 
JR East Press Releases - March 09, 2005 『 新幹線高速試験電車 FASTECH 360 まもなくデビュー 』
(http://www.jreast.co.jp/press/2004_2/20050306.pdf)

 
JR East Technical Review No.51 - Spring 2006 『 次世代新幹線の研究開発の方向とFASTECH360 』
(http://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_15/Tech-15-16-27.pdf)

 
JR East Technical Review No.22 - Winter 2008 『 高速対応用基礎ブレーキ装置の開発 』
(http://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_22/Tech-22-07-10.pdf)


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